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レビュー、考察、紹介。ビデオゲームブログ

世の中のビデオゲームは2種類に分類できる!

「どのように楽しさを提供するか?」の違い

ビデオゲームとは、つまるところ、人が現実で感じる楽しさの再現です。
スポーツをそのままビデオゲームにした物はともかく、ファンタジーのような形をとっていても、そこに感じる楽しさは実際にプレイヤーが日常で体験する楽しさを変換した物です。
 
例えば、巨大なモンスターを倒す楽しさは、大事なテストやプレゼンに備えて準備し実行するスリルや、それを成し遂げた達成感と共通しています。
また、シューティングゲームの楽しさは、ドッジボールでうまくかわすことができた時の楽しさに通じています。
 
ゲーム開発者は、「ビデオゲームで楽しさを提供する方法」を考える前に、現実に存在するどの『楽しさ』をプレイヤーに提供するのかを考えているはずです。(少なくとも、プレイヤーから見てそう感じられます。)
そして、その楽しさを感じてもらうために、プレイヤーにどのような行動をさせるのかをデザインします。
楽しさを厳選なければ、ビデオゲームはあらゆる要素で溢れかえってしまうことで、プレイヤーは何をすれば良いのか分からなくなってしまい「楽しさを提供する」という目的は達成できないでしょう。
ですから、このようなプロセスのビデオゲーム作りは『正統』であると言えます。
 
しかし、そのようなビデオゲーム作りに半ば反したようなゲームも存在します。
言うなれば、ビデオゲーム界の『自由放任主義』です。
 
今回は「正統」と「自由放任主義」的ビデオゲームを比較したのちに、プレイヤーはその二つをどのように遊ぶべきかを考えていきます。

正統:スーパーマリオ的『切り詰め型』

ビデオゲームの表現の幅は、常に技術の制約に縛られてきました。
現存する技術の中で最大限プレイヤーに楽しさを提供するために、ゲーム開発者は「どのような楽しさを提供するのか」というのを極限まで選び抜きました。
 
その結果生まれたのがインベーダーゲームであり、パックマンであり、スーパーマリオです。
1つのビデオゲームは、1つの遊びを提供し、その他の無駄な要素は極力排除せざるを得ませんでした。
そして、技術の進歩によって表現の幅が格段に増えても「1つのゲームに1つの遊び」の原則は変わりませんでした。
 
その一番わかりやすい例は、「マリオ〇〇」シリーズです。
・「スーパーマリオ」は、横スクロールか3Dのアクションゲーム
・「マリオテニス」は、テニス
・「マリオカート」はレースゲーム
 

例えるなら、「厳選されたフルーツジュース」

「1つのゲームに1つの遊び」の最大のメリットは、開発者がその楽しさを提供する方法を考えることに集中できることです。
だからこそ、楽しさの再現を追い求めることができ、プレイヤーはそのビデオゲームでどのような遊びが期待できるかを予測することができました。
 
別の表現をすれば、「果物の専門家が厳選して作ったフルーツジュース」です。
開発者(=果物の専門家)は、世の中にある楽しさ(=果物)の中からどれを提供するかを厳選し、プレイヤーは専門家を信用して、そのビデオゲーム(=フルーツジュース)を楽しむわけです。
 

プレイヤーは、遊び方を迷わない

このようなビデオゲームにおいて、プレイヤーは常に誘導されています。ディズニーランドのアトラクションに近いかもしれません。
 
プレイヤーは、そのビデオゲームを購入した時点で、どのような遊び、楽しさが提供されるのかが分かっています。
だからこそ、プレイヤーは開発者を信頼して、その誘導に乗るのです。
 
東京ディズニーランドの『バズ・ライトイヤーアストロブラスター』というアトラクションをご存知ですか?
 
乗り物に乗りながら、手元の銃で的を撃っていくアトラクションですが、ほとんどの人は、このアトラクションに乗る前に「こうやって楽しんでやろう」「ここはこうした方が面白いんじゃないか」と考えることはないでしょう。
目の前の的を、順番に撃っていくだけで、楽しめる作りになっているからです。
 
プレイヤーは遊び方に迷いません。
『正統』のビデオゲームを遊ぶというのは、まさにこんな感じです。
 

具体例:ダークソウル

DarkSouls3

名作アクションゲームのダークソウルは、間違いなく『切り詰め型』と言えるでしょう。
 
ダークソウルは、2011年に日本の開発会社から発売された、世界から高い人気を誇るアクションゲームです。
その独特の世界観だけでなく、シンプルな操作方法ながら状況に合わせた最適な立ち回りを要求される、奥深いアクション性が高く評価されています。
現在においても、いかに早くゲームクリアまで到達できるか、というスピードランが盛んに行われています。
 
このダークソウルが『切り詰め型』である一番の理由は、操作キャラターの弱さにあります。
操作キャラクターは、攻撃、防御、回避、移動の4つを行うことができますが、それらの動きはどれも単純で、そのアクション性だけで敵キャラクターを圧倒することはできません。とることができる選択肢に限りがあります。
ダークソウルは、その他のアクションゲームに多い「アクション性の爽快感」を削って、「倒し方を考える遊び」に特化したビデオゲームと言えます。
 
したがって、プレイヤーの「敵の動きを把握して、最適な立ち回りを見つける遊び」に自然に誘導されます。
 
ダークソウルは「心が折れる」と表現されますが、これは製作者から与えられた『遊び』に楽しさを感じられなくなり、続けるモチベーションが湧かなくなった状態だとも言えます。
心が折れたプレイヤーがたどる結末は3種類。
クソゲー」と評価してソフトをメルカリに出品するか、モチベーションが回復するのを待つか、与えられた遊び以外の遊びを自分で見出し、新しい楽しさを獲得するかです。
 
そして、この3つめ行動を絶えずプレイヤーに要求するビデオゲームこそが、次に紹介する新しいジャンルです。
 

『自由放任主義』:オープンワールド的、要素ばら撒き型

一方で、技術の進歩によってたくさんの要素を配置することができるようになりました。
その結果、どのような楽しさを提供するのかをあえて厳選する必要がなくなります。
日常の中の「楽しさ」からどの楽しさを再現するのかを選ぶ作業を、プレイヤーに任せるビデオゲームが登場しました。
 
ビデオゲームにおける、自由放任主義です。
 

プレイヤーは遊びを作る必要がある

このような自由放任主義ビデオゲームへの批判としてよく耳にするのが、「どのように遊べばいいかが分からない」という意見です。
これは、それらのゲームが従来の『切り詰め型』ビデオゲームと全く異なる種類の物であることの証拠です。
 
プレイヤーは、ビデオゲーム内に用意された沢山の要素から、どの要素を使って楽しさを見出すのかを選ばなくてはなりません。
 
つまり、「遊び」そのものを作る必要があります。
 
他者から与えられた遊びに乗ることに慣れてしまっているプレイヤーは、いざ遊びを作れる状況になると困惑してしまうわけです。
 

「果樹園をそのまま提供する」

『切り詰め型』をフルーツジュースに例えるなら、この自由放任主義は、美味しいフルーツをたくさん用意した果樹園をそのまま用意していると言えるでしょう。
 
プレイヤーは数多用意された要素(果物)を好きなように選び、味わうことができます。
 
もちろん、遊びの専門家であるゲーム開発者が厳選した物ではないので、まずい物ができてしまう可能性はあるものの、「フルーツ(楽しさ)を選ぶ」という楽しさが常に存在しています。
 

無駄な、使われないような要素が多い

このタイプのビデオゲームの特徴の一つは、プレイヤーが一度も使わないようなアイテム、一度も訪れないような場所が多く存在していることです。
 
プレイヤーに、遊びで使う要素を選ばせるということは、その要素の種類は豊富でなければいけませんし、一部の要素が選ばれないことも覚悟しなければいけません。
したがって、『要素ばら撒き型』ビデオゲームの開発は、大規模か長期間になりがちです。
 

具体例:MGSV

MetalGearSolidV

メタルギアシリーズは、ステルスゲームの代表ともいうべき存在ですが、2015年に発売されたMGSV(メタルギアソリッド5)は完全な『自由放任主義』であると言えます。
 
元からこのシリーズには、イースターエッグやプレイヤーを楽しませる演出が多く存在していましたが、プレイヤーの選択肢はそこまで多くはありませんでした。
そこから、シリーズを経るごとに(3あたりから)選択肢のバラエティが増え、シリーズの最終作である本作では、選択肢と要素のインフレが起こっているともいともいうべきビデオゲームとなりました。
 
その膨大な要素が提供しているのは「ステルスをしなくても良い」という、ステルスゲームとしてのシリーズの考え方を覆すような遊び方でした。
しかしそれは、プレイヤーに「遊び方を見つける」という新しい遊びを提供することに繋がっていました。
 
膨大な選択肢と要素は、プレイヤーがどのような遊びをしても良いように、用意されていたのです。
 

『切り詰め型』でも、遊びを作ってみるべき

2010年代からのビデオゲームのトレンドとして、オープンワールドゲームが持ち上げられてきました。
しかしその理由は、技術の進歩の体験やジャンルとしての真新しさだけではありません。
それまでのゲームでは背後に隠れてしまっていた、「遊びを見つける・作る」という楽しさをプレイヤーに提供できることが分かったからです。
 
もちろん、ただマップが広かったり、乗り物の種類が豊富なだけではいけません。
プレイヤーが遊びを作るには、開発者は楽しさの材料を用意しなければいけません。
 
その点で、オープンワールドゲームは「遊びを作らせる」ビデオゲームのジャンルとして成熟し切っていように感じます。
要素をたくさん配置できても、どれも似たり寄ったりでバラエティを与えられていないことも多いです。
 

プレイヤーが、自ら遊びを作る番

そこで私が提案したいのは、プレイヤーがビデオゲームの本来の遊び方とは関係なく、勝手に遊びを作ってしまうことです。
それは、ビデオゲーム開発者の意図に反することにもなります。
 
例えば、スピードランや、縛りプレイなどです。
おすすめはしませんが、ゲームのバグを探してみるのも良い遊びになるかもしれません。
 
いずれも、与えられた遊びを超えて、自分が楽しいという感じる遊びをビデオゲームを通して作り上げてしまうのです。
この考え方が、『切り詰め型』ビデオゲームでも「遊びを作る遊び」をする唯一の方法ではないでしょうか。
 
ダークソウルの例でも見たように、与えられた遊びが自分の楽しさに繋がらないこともあります。
しかし、「遊びを作る遊び」を実践すれば、思ったより「クソゲー」というものは少ないかもしれません。
 

 

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